『マーウェン』

ヘイトクライム(憎悪犯罪)の被害に遭い、障害を負いながらも、独自の世界観で写したフィギュア=人形の写真でカメラマンとして認められたマーク・ホーガンキャンプ(スティーブ・カレル)が、創作活動を通して回復していく姿を描く。マークがミニチュアで作った第二次世界大戦中の架空の村の名前がタイトルになっている。
監督のロバート・ゼメキスは、これまで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ、『ロジャー・ラビット』(88)『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)『ザ・ウォーク』(15)などで、最新の映像技術を駆使しながら、ディテールにこだわり、時空を越えたり、過去を鮮やかによみがえらせたりしてきたが、今回は現実とマークの空想世界を交差させて描いている。
そして、フィギュアに生を与え、観客をマークの空想世界に連れていくことに腐心した結果、CGではなくモーションキャプチャーを使って映像化したという。確かに映像的にはとても面白い。
この映画の発端はマークを描いたドキュメンタリー映画にあり、そこにゼメキスがマークの空想の世界を映像化して入れ込み、二重構造とすることで、マークの内面(恨み、暴力性、フェチシズム)を浮かび上がらせたわけで、障害故に無垢なところがあるマークはフォレスト・ガンプともつながるところがあるのだが、この映画の場合は、現実と空想世界とのバランス感覚が独特でグロテスクな描写も目立つ。こうした部分への好嫌が評価の分かれ目となるのではないかと感じた。
私見ではマークとホーギー大尉以外は、実物とフィギュアのつながりが弱く、両者が重なってこないところがこの映画の弱点だと思う。そこが、主人公以外の人物もしっかりと描いていた『フォレスト・ガンプ/一期一会』との違いだ。


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