『アンティークの祝祭』

最近、意識や記憶がおぼろげになってきたクレール(カトリーヌ・ドヌーブ)。ある日「今日が私の最期の日」と確信した彼女は、長年集めてきたさまざまなアンティークコレクションを、自宅の庭のガレージセールで処分することにする。そんな中、クレールの奇妙な行動を知った娘のマリー(キアラ・マストロヤンニ)が20年ぶりに帰宅する。
ドヌーブとキアラという実の母娘の共演と、美しく幻想的なラストシーンが見どころ。あの天下の美女ドヌーブが、認知力が衰え、白髪で太った姿を見せるところに感慨深いものがある。それにしてもキアラは、お父さんのマルチェロによく似てきた。
ただし、たった1日の物語なのに、主人公の意識を反映した現実と幻想の境を描いているので、時間の経過や人物像が曖昧になり、見ながら混乱させられるところがある。監督のジュリー・ベルトゥチェリは、自分の趣味や理屈を出し過ぎた結果、いささか整理不足に陥ったのではないかと思われる。
これを見ると、タイプは違うが、是枝裕和の『真実』の方が、老境のドヌーブをうまく生かしながら、きちんと母と娘の話にしていたとも思える。フランス人よりも、日本人の方が彼女を生かした皮肉は面白い。
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