バリー・レビンソンの映画3『トイズ』
『トイズ』(92)(1993.4.16.日比谷スカラ座)

荒野の真ん中に工場を持つおもちゃ会社の社長(ドナルド・オコナー)が急死。後を継ぐことになった将軍(マイケル・ガンボン)は、おもちゃの兵器化をもくろむ。だが、前社長の息子で平和主義者のレスリー(ロビン・ウィリアムス)は、妹のアルセイシア(ジョーン・キューザック)と共に、おもちゃを使って将軍に反撃する。
見る前に、随分と酷評を目にした。中にはバリー・レビンソンが初めて駄作を作ったなどと語るものもあった。そんなわけで、少々心配しながら見始めた。ところが、確かに取っつきにくくはあったが、それほど酷評されるほどではなかったので、レビンソンのファンとしては一安心といったところだった。
思うに、この映画は風刺を込めた寓話の一種であり、真面目に見てしまうと「これは何だ?」となるだろうが、一歩引いて、うわべの実験的な映像にだまされずに、遊び心を持って見れば、その奥にあるメッセージは、甚だ未来的で怖いものがあり、おもちゃが兵器になり得るテクノロジーの発達がもたらす錯覚、冷戦終結後の軍人のはけ口の矛先が間違った方向に向けられた時の怖さなどが浮かび上がってくる。
そんなわけで、この映画は現実に毒されてしまった大人たちよりも、むしろ子どもたちに向けて作られたような節も感じられる。この映画を酷評した人たちは、遊びの中に潜む怖さを理解せず、今までノスタルジックなストーリーテラーとして名をはせたレビンソンの中にあった、過激な異分子に拒否反応を覚えたのだろう。
これは前作『バグジー』(91)でしっかりウォーレン・ベイティに利用されたレビンソンの大いなる復讐であり、映画監督が本当に撮りたいものを撮ったときほど認められないということの一つの典型だろう。
主演のウィリアムズは、特異なキャラクターやあくの強過ぎる演技のおかげで、いま一つ評価が定まらない俳優だが、彼以外に誰がポパイや大人になったピーターパンや、この映画の主人公ができるのかと考えると、やっぱりすごい役者だと思わずにはいられない。
また、LLクールJなる黒人のキャラクターも面白かった。忍者のような登場の仕方、父親が白人なのになぜ息子は黒人なのか、というおかしさ。中でも「コピーは同じものがいくつも出てくるから恐ろしい」と真面目に語るところが妙におかしかった。



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