仲代達矢の出演ドラマ 岡本喜八「昭和怪盗傳」「着ながし奉行」
「昭和怪盗傳」(77)(1981.10.23.)

テレビ朝日が1977年から始めた土曜ワイド劇場。今ではすっかり推理ミステリーオンリーになってしまったが、開始当時はこんなに面白い作品も作られていたのだ。
仲代達矢が久しぶりに喜劇的な演技を見せてくれる。岡本喜八流の皮肉がたっぷりと効いた味付け。昭和初期と現代の世相を巧みに盛り込みながら、一人の泥棒の姿を通して面白おかしく権力や社会を批判していく。
女流小説家(岸田今日子)の売名ぶり、短刀をつきつけられでもしない限り真実を言わない政治家、自分の立場のために犯人をでっちあげる警視総監…。 主人公の言う通り、いつもばかを見るのは貧乏人でそれはこの作品に描かれている昭和初期から50年たった今も形は違っても何も変わりはしない。
岡本喜八はそんなことを説教するわけでもなく、いつものようにおかしさの中にさりげなく描き込んでいる。だから主人公の説教強盗、津田梅吉という人物にも抵抗なく感情移入ができるのである。仲代達矢の快演もあって、久びさに満足のいくテレフューチャーを見た気がする。
「着ながし奉行」(81)(1983.1.9.)

岡本喜八が監督をしている「着ながし奉行」なるテレビムービーを見る。原作は山本周五郎の『町奉行日記』。主演の仲代達矢もさることながら 岡本喜八ならではの脇役を生かす展開を存分に楽しむ事ができた。
中でも昨年末に亡くなった岸田森の存在感が大きく、岡本映画の『ダイナマイトどんどん』(78)や『近頃なぜかチャールストン』(81)における怪演を思い出した。ちょっと異常な男や渋いおかしさの出せる貴重な俳優だっただけに、その死は惜しみても余りあるものがある。特に「傷だらけの天使」の辰巳五郎は最高だった。
【今の一言】後に市川崑監督が『とら平太』(00)として、仲代の弟子に当たる役所広司主演で映画化した。
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