『落下音』
『落下音』(2026.4.2.オンライン試写)

1910年代、アルマ(ハンナ・ヘクト)は同じ村で自分と同じ名前を持つ、幼くして死んだ少女の気配を感じる。40年代、戦争の傷跡が残る中、エリカ(レア・ドリンダ)は片足を失った叔父への抑えきれない欲望に気付き、自らの得体の知れない影に戸惑う。80年代、アンゲリカ(レーナ・ウルゼンドフスキー)は常に自分の肌にまとわりつく“何か”の視線におびえていた。
そして現代、家族と共に村に移り住んだレンカ(レニ・ガイゼラー)は、自分の存在が消えてしまいそうな孤独感にさいなまれる。4人の少女の不安が100年の時を経て響き合う。
北ドイツの農場を舞台に、それぞれ異なる時代を生きる4人の少女が体験する不可解な出来事を描いた映像叙事詩。
本作が長編第2作となるドイツ出身のマーシャ・シリンスキが監督・脚本を手がけ、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞した。
少女たちの思春期の孤独や体の違和感をホラーのように描いているのが印象的。4人が直面する女性への抑圧や搾取などを、それぞれの時代背景を踏まえて描いているのは女性監督ならではの視点だろう。
また、床のきしみやハエの羽音、風、物の落下音といった“音”を使って見る者の不安をあおる手法は『関心領域』(23)とも通じるところがあると感じた。
ただ、絵画のような映像美は認めるが、暗過ぎて何をしているのか分からないシーンが多い。加えて、4つの時代を断片的に交錯させて構成しているので、登場人物が把握しにくいし、全容もつかみづらい。
この2時間35分には忍耐力が必要。正直なところ自分は睡魔に襲われた。とても観客のことを考えて作っているとは思えないような、独りよがりなところが目立つが、カンヌではこういう映画が評価される傾向がある。
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