続・映画の王様

映画ライターのブログです

『Michael マイケル』

ユージン・ターナー

『Michael マイケル』(2026.5.13.キノフィルムズ試写室)



 野心家の父ジョセフ(コールマン・ドミンゴ)のもとで厳しいレッスンを受け、兄弟グループ「ジャクソン5」のメンバーとして幼くして成功を収めたマイケル・ジャクソン(ジャファー・ジャクソン)。


 やがて名プロデューサーのクインシー・ジョーンズ(ケンドリック・サンプソン)と出会った彼は、ソロアーティストとして数々の名曲を生み出し、またたく間に時代の寵児となっていく。


 しかしその栄光の裏には、早熟の天才ゆえの孤独感や、強権的な父の呪縛、家族への愛と自分の中にあふれるビジョンとの間で葛藤する姿があった。


 圧倒的な歌唱力と革新的なダンスパフォーマンスで時代や国境を越えて今も愛され続ける“キング・オブ・ポップ”マイケル・ジャクソンの半生を描いた伝記映画。


 監督は『トレーニング デイ』(01)のアントワン・フークア。製作は『ボヘミアン・ラプソディ』(18)のグレアム・キング。脚本は『グラディエーター』(00)のジョン・ローガン。母キャサリンをニア・ロング、弁護士のジョン・ブランカをマイルズ・テラーが演じた。


 ジャクソン5の時代から『バッド』(87)までの、いわゆるマイケルの旬の時代が描かれる。もちろん、誰もマイケルのパフォーマンスに匹敵することなどはできないのだが、幼少期のマイケルを演じたジュリアーノ・クルー・バルディ、そしてマイケルのおいでもあるジャファーが、マイケルに成り切って見事な歌とダンスを披露した点には拍手を送りたい。


 ただ、マイケルと同じ黒人であるフークア監督ならば、マイケルの悩みや闇の部分にも深く迫れるはずという点では、きれいごとで済ませた感があるが(それは遺族が許さないか)、この映画の本意は、あくまでも天才ミュージシャン、パフォーマーとしてのマイケルを描くということにあるのだし、1本の映画の中でその人物の全てが描けるはずもないのだから、これはこれでいいのかもしれない。事実、この2時間余りは見ていて楽しく、音楽にも乗れたのだから。 


 また、MTVの申し子としてのマイケルという意味でも、「ビリー・ジーン」や「スリラー」製作の舞台裏が垣間見えて興味深いものがあった。


 この後のマイケルを描く続編もありかなどと思ったが、やはり『バッド』以降の晩年のマイケルの姿はあまり見たくないか…。