続・映画の王様

映画ライターのブログです

中村玉緒の出演映画『釈迦』

ユージン・ターナー

『釈迦』(61)(1982.3.31.)



 自分にとっては幻だった日本初の70ミリ映画。特撮が素晴らしいと聞いていたので前々から見たいとは思っていたのだが、所詮、本場ハリウッドのスペクタクルにはかなわないだろうなどとタカをくくっていた。


 ところが、何と『十戒』(56)『ベン・ハー』(59)などに匹敵するような映画になっていたのだ。これはうれしい驚きだった。日本でこれだけのスペクタクル史劇が作られていたとは夢にも思わなかった。


 それにしてもよくこれだけ巨大なセットを作り、エキストラを集めたものである。今こうしたクラスの映画を作ることは倒底不可能なだけに、いい意味で、日本映画黄金時代の大作主義の産物だと言えよう。


 とにかくこのスケールの大きさは日本映画ではあまりお見にかかれない代物である。それは荘大なドラマに特撮が見事にマッチしていたことも大きいが、要は金をかけるべき映画には金をおしまないというぜいたくさの勝利だろう。


 悲しい事に、金をかけなければ面白さが半減する映画というのは存在する。そして日本はその点ではハリウッドにはかなわないのだから、こういう映画の存在価置はもっと見直されてもいいと思う。


 ラストの釈迦(本郷功次郎)の昇天シーンには感動すら覚えたのだが、それは宗教的な感動ではなく、視覚的に十分甚能出来たという喜びの感動だったのだ。日本映画では珍しくスペクタクル映像で感動を与えてくれた映画として評価したい。


 監督・三隅研次、脚本・八尋不二、撮影・今井ひろし、音楽・伊福部昭。中村玉緒はアジャセ王(川口浩)の妻役。