続・映画の王様

映画ライターのブログ

『ビリーブ 未来への大逆転』

ユージン・ターナー


 1970年代初頭。女性弁護士ルース・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)が挑んだ“男女平等”に関する裁判をクライマックスに、性別による差別が当たり前だった時代の風潮を描く。だから原題は「On the Basis of Sex=性別に基づく」となる。現在85歳のルースは現役の最高裁判事で、アメリカでは超有名人らしい。

 監督のミミ・レダーは、ルースを、単なる正義派、理想化肌の人ではなく、頑固で、ずるさや野心も併せ持った女性として描いているが、それは男中心の映画界で長く仕事をしてきた自分自身とも重なる部分があったからだろう。

 アメリカは曲がりなりにも、こうした出来事とウーマンリブやフェミニズム運動が重なり、引いては、それらが男女の雇用均等へとつながった。そうした“痛み”や変革を経ずに、その流れに乗って権利ばかりを主張することが多い日本とはやはり大きく違うのだという気がした。そして、ラストの、まるでフランク・キャプラ映画のようなルースの演説とその後の“奇跡”を見ると、やはりアメリカは、腐ってもデモクラシーの国だと感じさせられるのだ。

 また、あの時代に、共稼ぎによる育児や家事の分担、相手への理解と尊重といった、今では当たり前になったことを実践したルースと夫のマーティンとのユニークな夫婦関係も描かれる。ジョーンズにも増して夫役のアーミー・ハマーが好演を見せる。

 蛇足:『アラバマ物語』のアティカス・フィンチは果たしていい弁護士なのか、と母と娘が議論するシーンが興味深く映った。